『ストロングゼロ文学』

「ッ!!」

目を瞑った直後、カランと乾いた音がローテーブルを転がったのが分かった。少しして広がる痛みと仄かな檸檬の香り、そして額を伝う液体の感触。…ああ、そういう事か。

「…巫山戯んなよ、テメェ」

火を吐かんばかりに息の吐く、父の血走った目が私の双眸を捉える。ひしゃげて動きを止めた『STRONG ZERO』の文字が、無機質に凹んで私達を嘲笑っていた。

この短編小説にはまだコメントがありません。
ぜひ一番最初のコメントを残しましょう。