『始まりと終わりと』

「情けないね、支えなきゃこうだもの」

壁一面に飾られた油絵と、衝撃で広がるパレットや筆の海。全ての始まりのその中心で、イーゼルを突き崩した彼女は嘲るように笑う。

「土台を崩せば、油絵は価値すら無いただの布になる。…きっと誰しもそうなのよ。何かを踏み台にして、その価値を得ている」

絵を見渡す視線が寂しげなのは、きっと気のせいじゃない。

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