『述懐』

 一口に「殺してしまえばいい」と考えた。
 下拵えに不条理、不満、不条理、不運、不穏、不安、不明瞭、不実、不祥事、不偏、不乱を用意し不確かに贅沢な理由をつけて僕は陸橋で発狂する。

 二口で「タバコに火を点けよう」と思い立つ。ニコチン、タール、ベンゼン、シアン化水素、トルエン、一酸化炭素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、血中濃度を測定し無性に猥雑な根拠を消化し君は酔狂に泥酔する。

 三口で「息がしにくい」と気が付く。誰か、君か、僕か、貴方か、私か、男か、女か、大人か、子供か、自分か、と涙し不完全に無様なさよならと口が回らず下を噛む。

 四口目には舌触りがない。
 五、六、七の記憶を廃して八は無限と究極に充実した錯乱にただ呆けたあの日の僕は一言言ったはずだ、「気楽に嫌いでどうしょもないな」と落ち着いたのだから、暴れだす日を考えない。

 誰か殺してくれないかと他人行儀になりたかった14歳は何回目で拗らせるのか、あと何回で縺れはなくなる。一生掛けるその事象に、また繰り返すしかないのは、癖でしかない。考えすぎればいいんだよ。何回殺しても死なないのだから。

 さあ頑張って。

 僕は首に縄をかけた。
 

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