『嘘じゃないです』

 「俺が負けたししょうがねぇか」
俺の部屋に友だち4人で集まり格闘ゲームで最下位になってしまった俺は言った。
罰ゲームのターゲットが決まってしまった。俺だ。自分で参加した以上、今から逃げるのは俺のプライド的に無理だ。
 
 罰ゲームがあること自体はいいのだが、盛り上がるし、とは言え罰ゲームの内容が酷い非道徳的なのは問題な気がしてきた。 その罰ゲームの内容はこうだ。
 1:友達が俺のLINEから適当な女子を選ぶ
 2:選ばれた女子に「好きです」と打つ
 3:そこからは相手の返答に合わせて俺が話したことを友だちが一語一句打っていく
この罰ゲームは選ばれた女子が一番可哀そうになる。そこがよくない気がしてしょうがない。
 
 遂に罰ゲームが始まってしまった。そして俺は言う。
「好きです。」
始まっちゃったよ、後で土下座でもして謝ろう、LINEのブロックですんだらいいな。

ピロン! 
もう返答が来やがった。結構早かった。20秒もない。相手の肝がかなり据わっている鋼のメンタルをお持ちの女子みたいだな。そして返信はこうらしい
「罰ゲーム?」
勘がよすぎる。まぁ確かにこういう罰ゲームとか最近多いから察したりもするのかな。とか色々思うことがあったが言った。
「俺の気持ちです」
 
「ごめんね。」
そう来るよなぁ。知ってたそしてごめん、ここからは打ち合わせ道理に。
「何に対して謝ってるの?」
この最後の一言は酷い。この先で俺が「付き合って」と言ってくるのを察して断った相手に対する仕打ちの様なものだ。ひどすぎる。今すぐにでも辞めたい。 
そして返信は来なかった。一応これで罰ゲームも終わったので「後は謝るだけだな」と決意して俺は部屋を出て追加のお菓子を取りにリビングに向かった。

 向かう途中にずっと思っていた。友だちを間違えたなと。 相手が心配で仕方がなかった。 俺の友だちって平気で結構えぐいことするよな、罰ゲームの対象がヅレてるし。など色々なことが頭の中をグルグル回っていた。

 そしてリビングに着くと、スマホ持ってニマニマと俺の顔を見ているお母さんがいた。

 素直に口から言葉が漏れた。
「被害者俺だけかよ。やられたわ」

ちゃんとオチがあって良かったです。なんせショートショートはアイデア勝負ですからねー。