『二春の恋物語』

 私はもうそろそろ桜が全て散ってしまうそんなある日市内の図書館で桜という同い年の女の子と出会った。
 その出会い方はまるで漫画のような出会い方、それは私が手に取ろうとした瞬間桜も同じ本に手を伸ばし、私と桜の手は重なった。
「ご、ごめんなさい」
「ごめん」
 二人同時に謝り、そして二人同時に微笑んだ。
 これが出会い。
 そしてその日私とさくらは、意気投合した。
 なんと好きな本のジャンルも被っていたのだ。
 桜は黒髪短髪のメガネ女子で、私の好きなタイプだった。
 そんな下心を隠しながら私は、桜と楽しく話をした。
「ここいいよね」
「うんうん、桜やっぱわかってるね」
 そして私は帰り道何気なく、近所の公園で一人寂しく桜の木を見ながらの花見をした。
 もうすぐで見れなくなってしまう桜を見ながら。
 これが進展。
 次の日桜目当てで図書館に行くと、そこには桜の姿はなかった。
 帰り道桜の木に花びらはついていなかった。
 次の日もその次の日も桜は、図書館には現れなかった。
 これが別れ。
 そして一年後、桜が満開の今日この頃私は図書館に足を運んでいた。
 あの日から私は時々桜に会いに図書館に言っているのだけど、一日も会えてはいない。
 しかし何故だか今日は会える気がしている。
 これが進展二。
 私の予想は当たっていた。
 桜は去年と同じ本を楽しげに待ちわびていたかのように読んでいた。
 私はそっと桜に声をかけた。
「桜〜」
 けれど桜の答えは予想外のものだった。
「どなたですか?」
 これが真実。
 その日の帰り道私は、今年も一人寂しく近所の公園で花見をした。
 けれど去年とは違い目には涙を浮かべながらだった。
 これが私の二春の恋物語。

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