『陽の当たる場所 #1』

目覚ましのベル。

水面下から浮遊する意識。

瞼を開くと、いつもの世界が待っている。

私の朝の習慣。
世界にハローと挨拶するように目覚めること。

毎日に同じ日はない。
だから、私は私の知らない世界の誰かに挨拶をする。
挨拶をして、もし返事が返ってきたら、こんなに素晴らしいことはない。
そう思って今日も私は一日を生きる。

私は生まれつき体が弱い。
弱くて、弱くて、この小さな病室からはほとんど出られない。
まるで、鳥籠の中の鳥のように。
でも、それは違う。
私には空を飛ぶ翼はないから。
鳥には立派な翼がある。
鳥籠の鳥は扉が開けば、きっと大空高く飛び立っていくでしょう。

それが私には羨ましくて、妬ましい。
こんな黒々とした気持ちを持ってはいけないのに。
私の心は素直に従ってはくれない。

もう少しだけ、私に強さがあったなら。
きっと窓から見える青空を素直な気持ちで見られるのに。

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