『殿様の木と否定派の自分(中学時代)』

ふと学校へ向かう通学路を歩いていると途中に神社がある。そこに生えている大きな桜の木に向かって叫びたくなる衝動によく駆られる。

まぁなんのこっちゃ???と友達に話して言われるのは嫌なので誰にも話したことはない。ただ言えないままでいるのも、ストレスが溜まるだけなのでこのノートにその思いを書いていくことにした。

そもそもあの桜の木は昔この地を治めていたお殿様が奥さんの為に植えた木らしい。らしいって曖昧な言い方になってしまうのは昔から言われている噂で何か資料が残っているわけじゃないからだ。

いや正直殿様が本当にいたのかも怪しい。理由は二つあって一つ目はお城が今はないから。城が残ってないってのがそもそも変じゃん!!!ってツッコミねーのかよ!!!ってなるよね普通。

はいこの話は嘘!終わりですってなる所、うちの両親や祖母は本当の話だと信じているみたいで自分には理解が出来ない。何回言っても伝わらないから諦めたけどさ。

で続きを書いてく。殿様いたか怪しい理由の二つ目は隣の地区に立派なお城が今も残ってるから。近すぎだろ!!!それもそっちは観光地にもなってる有名どころ。
日本史?とか社会が苦手な自分もスマホやら図書館やら行って調べまくって出した結論。 江戸時代の地図には村で登録されていたし、残ってる城にいた方の殿様は噂の殿様とは違う人物らしい。


馬鹿馬鹿しい。調べるために費やした時間を返せってなったね。だから自分はあの木を嘘つきの木って呼んでる。つーかそう叫びたい、毎年ある桜祭りにも出たくない。祭り嘘つきの木を祝って春を祝うとかありえなくない。

でも今も信じているうちの大人達は毎年毎年、飽きもせずに参加している。更に信じられないのがよくあの木に手を合わせにいくらしい。
自分が生まれた時も、幼稚園に入園した時も、小学校に入学した時も、受験祈願もあの木に向かってしたらしくその話がたびたび出るたび腹が立ってくる。

大体木の癖に祝ってもらえるとか偉そうで腹が立つ。うちの馬鹿どもがうるさいから口に出せないから心の中でしか文句言えないけど。

そんなあの木とも、もうすぐおさらば。自分は今中学三年生。数ヶ月経てば中学も卒業する。高校受験も塾に去年から通いつめて、模試でほとんどの教科がA判定。

高校は電車で1時間かかる公立の栄高を選んだ。このままいけばあそこに入れる。家から高校までの遠さよりあの木の近くを通る方が嫌だからって理由を隠し、将来のためとか誤魔化しながらここまできた。

部活の友達もクラスメイトも同じ進路のやつがいて安心した。 来年からは自分は高校生。もっと楽しい学校生活が待ってるはず。 読み返して更に嫌な気分になってきたので今日はこれくらいにする。

あの木とは今後関わらない。

嘘つきの木だから。

彼は結局胸に秘めた想いを誰にも明かさなかった。

夏が過ぎ、秋が過ぎ、そして受験を迎えた彼の頑張りにより無事栄高に合格することが出来た。

合格した喜びを友達と分かち合い、家族に報告して祝って貰えた。そしてあの木とおさらばすることが出来る。嬉しい気持ちで彼は母校を卒業していった。

桜の木が大嫌いな青年の名前が桜。

彼の殿様の木嫌いな理由の一つは、間違いなく名前から来てるのは言うまでもなさそうだ。

〈殿様の木と否定派の自分(高校時代)に続く〉

初投稿です。長くても1000文字ぐらいで書いて行こうと思います。

純粋に高校時代編も読んでみたくなりました!

>Orangeさん コメントありがとうございます。 近いうちに高校時代編を投稿する予定です。 お楽しみに。 読んでくださりありがとうございました!!

こんにちは! このように嫌でも自分を見つめてしまう存在があると、なんとも嫌悪感がわいてしまいますね!

>つぶらやこーらさん こんにちわ!コメントありがとうございます。鏡じゃないですが自分も関係あるんじゃないかなと調べたのが始まりだったのかもしれません。 彼の内面の変化も今後書けたらなと思います。 読んでくださりありがとうございました!