『「妖精」No.28』

「君は誰だ」

「わしか、わしは魚や」

「魚屋?」

「違う、魚そのものや」

「へぇ、でなんで魚がこんなとこで何してんの」

「別にええやないか、ってかお前は誰やねん」

「俺か、俺はあれや妖精や」

「嘘つけ、そんな妖精おらんやろ」

「妖精やっちゅうに」

「嘘言え、わし海の下の方でお前そっくりなやつ見たことあんで。
 名前なんやったかいなぁ。
 ええぇっと、あれや首んとこまで出てきとんのや」

「魚に首は無いやろ」

「うるさいニュアンスやニュアンスの問題やいちいちうるさいねん。
 ってか思い出したわ自分。
 お前なあれやろ、お前ダイオウグソクムシやろ。
 わし見た事あるもん」

「ちゃうわい、妖精や。
 こんなダイオウグソクムシ見た事ないわ」

「あっ、嘘ついとる。
 お前やっぱりダイオウグソクムシやないか。
 その水槽の下にダイオウグソクムシってプレート貼ったるやないけ何が妖精や」

       ほな!

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