小さい頃からそこは海だと思っていた。
残念な事に海では無かった。
そんなにも落胆はしていないが、僕は所謂ドラゴンの子供だ。
子供と言っても、もうすぐ生まれてから百年経つ。
大人になる為には後九百年はかかるよ。
ずっと海だと思っていた湖に、住んでいるよ。
ここは住みやすいんだ。
食べ物も豊富だし、気候に変化がそれほども無いので、穏やかな気持ちで過ごせるのさ。
友達はいないよ。
生まれた時から一人だったし、誰も訪ねてこないし、僕はまだ子供だからそんなに移動もできないんだ。
まだ子供だから体力が無いよ。
火が吹けるか?そんなの無理だよ。
それは何処かの誰かの作り話だろ、知らないや。
僕の大きさかい?僕の大きさはねぇ、ワンちゃんくらいだよ。
いいだろー。
背中に羽?羽は無いよ。
ヒゲならちゃんとあるぜ。
何を食べているのか?そうだなぁ、何でも食べるさ。
生き物も食べるし、葉っぱも食べるんだぜ。
空は飛ぶのか?ううーん、先では知らないけど今のところ跳ねる程度だな、なんせまだ子供だから。
いつかは飛び回りたいね。
っとその時、ドラゴンの子供は漁師の網にかかってしまったのだ。
漁師
「あっ、畜生これデカイけど不味いんだぁ。しかもおら達の漁場を荒らす天敵さ」
ってな具合でドラゴンの子供と思い込んでいる、巨大ナマズは舟の甲板でシメられ、バラバラに切り刻まれ再び湖に捨てられた。
他の魚のエサになった。
ほな!
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