『「UFOL」No.46』

昔スピルバーグ監督の「未知との遭遇」という映画を観たことがある。

あれから何十年今まさにその瞬間に立ち会えたのです。

その飛行物体は「未知との遭遇」そのものか、そのもの以上なのかもしれない。

実に素晴らしい。

しかしそんな世紀の事件も全世界の人々は知る由も無かった。

もちろん私もうっかりスルーしかけたのだが、とにかく遭遇したのである。

仕事が終わり体も心もボロボロの状態で自転車を走らせる。

やっとの事で自宅マンションの駐車場に。夜中なので誰もいない。

自転車のスタンドをかけ、鍵をかけている時にそれに遭遇した。

目の前に光る物体がゆっくりと下りてきた。

私はそれを目で追った。

最初は単にこんな都会でホタルとは珍しいなと思っただけだ。

然し乍ら、疲れていて思考が低下している私でもある事に気付いた。

あれ?今十二月じゃん。

ホタルなんかいるわけないやんと。

しかしそれはゆっくりと下りてくる。

なんじゃこりゃ?それは遂に私の足元近くに舞い下りた。

なんだなんだ?ちょうど仕事で偶々使っていたルーペがカバンの中にあった。

私は急いでそれを取り出し足元近くのそれを見た。

「うぅーあっ‼︎」

夜中なのに大声をあげてしまった。

やっと「未知との遭遇」である。

であるが、誠に小さ過ぎる。

でもきっと彼らにとっては大型宇宙船なのだろう。

そこで私は思った。

テレビなんかで観る宇宙人の話は、大体において私たち人類とサイズ感が同じである。

確かによく考えたら宇宙には地球よりとてつもなく大きな星があったりするわけだから、びっくりするくらいに小さな星だってあるに違いない。

しかしなぜよりによって私の足元近くに着陸するか。

そして、こんな夜中にルーペで地面に這いつくばって何かを見ているOLも、かなり怪しい生物であろう。

さてどうするか。

このままこれを放置して帰るも良し、持って帰るも良し、また回らない頭で考えてみる。

放置する、きっと二~三日中には誰かに踏み潰されているだろう。

持って帰る、未知なモノだけに色々と厄介な事にはならないだろうか。

考えて、考えて、考えた。

「未知との遭遇」の後編と言われる「ET」では家の中に宇宙人が居たな。

それを思い出し家に持って帰る事にした。

しかし待てよ、こんなに小さいの、いくら私が女子だからチカラがないとはいえ手掴みして壊れちゃうとかって無いのかしら。

また回らない頭で考えた。

分からない。

仕方がないのでどっちでもいいやって手掴みして、サッサと自分の部屋に戻った。

適当な容れ物が無かったので、コップに入れてラップをしてその日は寝た。

おやすみなさい。

      ほな!

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