このノートを開くのも久しぶりかもしれない。元は自分が中学校の頃文房具屋で買った何も特徴がない普通のノート。ただ一つ違う点は机の奥底にしまってある。いや家族にバレるのは困る。
まぁ、自分以外の誰かが読む訳じゃないけどさというか引っ張り出したぐらいまた書きたくなったんだよね色々あったから。
という訳で書いてく。
まず最初は前にこのノートで書いてたあの桜の木。嘘つきの木に関して書いていこうと思う。
あらかじめ書くが、あの木自体に何か変化があった訳ではない。至って変わらない。相変わらず偉そうに神社に生えてるし切られる予定もない。じゃなくて!!!
実はあの木の事が大っ嫌いな人が部活にいたんだよ!!!一つ上の先輩で厳しい人で最初は嘘かと思った!!!綺麗だけど。
昔、うちの近くに住んでたらしくて自分と同じように調べて嫌いになった?らしい。細かい理由は話してくれない。でも理解してくれた人が出来て嬉しかった。
でもなんで嫌いなのが分かったのか?
それは五月に水泳部に入部してから。入った後の自己紹介でうちの地区ことを軽く話してみたら、部活終わった後に声をかけられたんだよね。
確か桜君の住んでる場所って◯◯神社がある所だよね?桜の木とか生えてなかった?って話をしてくれてそれから意気投合。あの木を思い出すと嫌な気分になるんだってさ。
今までノートにつらつらつらと書いてただけだったから本当に嬉しかった。高校からのクラスメイトはそもそもなんの話か分からないし、相変わらず話せる相手はいなかった。
同じ中学の奴らは未だにあの木の噂を信じてるらしい。そこ以外は相変わらず仲が良いけど少し複雑。
で、で、まだ書きたいことがあって
一つビックニュースが!!!
なんと自分に………
好きな………
好きな………
好きな人が出来ました!!!
いや付き合ってはねーよ???今は期末終わったばっかだし練習ばっかりできつい。
で、好きになったきっかけは体育祭終わった後に何人かのクラスメイトでカラオケに行ってさ、その後からかな。少しずつ気になってさ、あの子のことを考えるようになっていって…いつの間にか好きになってたみたいで!惚れたって奴?みたいな?
ってノート書きながらニヤニヤしてる自分が目に浮かぶからこの部分はそのうち消すかも、消そうかな。
まぁまぁまぁまぁ、でね?最近席替えがあって今は隣の席になったんだよこれが。
いやぁ今なら恋っていうのは、いきなり来るものって言われても分かる。しないと分からないここ重要!!!
今ならあの木のことも少し、ほんの少しだけど許せる。 その居たか分からない殿様も奥さんと付き合った時、同じ気持ちだったのかもしれないとか思うと許せる。少しくらいなら態度を改めても…
いやでも、やっぱり否定派なのは変わらない。でもイライラするからってあの木を切り倒したいとか何かしたい訳じゃないんだよ。ただ嘘なら嘘って分かってくれる奴がもっと増えて欲しいんだよな。
分かって欲しいってつもりはないでも、やっぱり認めるつもりはない。
というかそろそろテスト勉強再開しないとな。 これが終わったら高校生になってから初の夏休み!今頭の中は沖縄にいるおじさんとこに遊びにいくことしかない!!! ちゃんとタイミング合わせたから神社で毎年ある夏祭りなんて行かねーからな!!!
でもなぁ………あの子にもし誘われたらどうしようかな。 いやいやないない。でもどこに住んでるか聞いたことないし電車であったこともないってかいつの間にかいないんだよな。友達と帰っているのかな?
それはまた今度にしよう。まぁ大体書き終わったし、数学Aの続きをやるか。また書きたいことあったら書けばいいし。
今はテストが大事、あの木よりも。
彼はこのあとも卒業するまでノート一冊分埋まるくらい高校生活について書き込んでいた。
当時の彼的にはそのうち恋が叶う!!みたいなのを想像していたらしく(流行っていたテレビドラマの影響を受けていたのかもしれない)しばらく幸せそうな内容で埋まっていた。
しかし良いことばかりが続くほど現実は甘くない。
一年生の夏が終わった後、隣の席だった子に恋人がいたと発覚した。お相手は他校の生徒だったらしくいつも二人で帰っていた為、桜は知らなかった。
それを知ったショックは大きく、一時期は桜の木のことを考える余裕もないくらい凹んでいた様子。
しかし、時間の針は進み続ける。時間はかかったがかなわず初恋から立ち直った彼はその思いを部活に打ち込むことで紛らわしていく。
しかし悪いことばかりでもなかった。
二年生になってから恋人が出来たらしい。
なんと相手は三年生、それも告白されたみたいだ。
告白ついてはあまり語りたくないらしくノートに書いてる痕跡は見つからないため割愛。
その後は恋人と同じ大学を目指すことを目標とした。その為夏休み明けから少しずつ取り組んでいた。
好きな人がいるとやる気も違うらしい。三年生になり周りがカリカリシャーペンを鳴らしている中、既に大学生になった彼女に教えて貰いながら受験勉強をしていた。
ただ始めた時期も早かったのと進路を一つに絞っていた為、その努力が身を結び彼女と同じ山大の文学部に無事合格。同じキャンパスライフを過ごすことが決まった。
でもそんな彼にも高校時代一つだけ嫌なことがあったらしい。
それは恋人の事。それもまた何というか彼ら以外には分からない理由だった。
それは名前。
彼女の下の名前は百合。
彼女の名前に不満があるほど偏屈ではない。ただ周りが花カップルと二人のことを呼ぶのが不満だった。
それは本気で怒鳴るぐらいのもので卒業しても彼ら以外に理由が分かるものはいなかった。
彼が相変わらずある桜の木に執着していたのは言わなくても彼女は理解していた。
〈殿様の木と否定派の自分(大学時代)に続く〉
>Orangeさん コメントありがとうございます! そうです、あと言葉遣いが異なったり高校時代はまだ安定しない時期なのかなと考えながら書きました。 次はしばらく間が空くのでよろしくお願いします。 読んでくださりありがとうございました!
中学時代より字数が500字以上増えてしまいました。あと今回は桜自身が浮かれているので前回と書き方が少しだけ異なっています。
ノートに何か日記などを書く時って、確かにその日その時の気分で使う言葉などが変わりますよね! 大学時代編も楽しみにしています!