『「蟹とボイン」No.71』

先生の背中に誰かがヌード写真を貼り付けた。

先生が黒板に向かう度に、金髪のボインが僕たちに微笑む。

先生がこっちを向く。

蟹みたいな顔の先生。そのギャップが良い。

蟹、ボイン、蟹、ボイン、蟹、蟹、ボイン、
ちょっと蟹、ボイン、ボイン。

クラスのみんな、笑いを堪えている。

ガムテープの粘着が弱かったのか、窓からの風にボインが飛ばされた。

一人の生徒が「あっ」と声を出した。

そこからスローモーションのように、ボインはヒラヒラと風に乗り教室の隅に着陸した。

周りを見回した。

みんな残念そうな顔。

残ったのは蟹のみだ。

     ほな!

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