恋愛

  •  「今年も来たんかいね」と皺くちゃの顔をこちらに向けるのは彼の母だ。例年通りに2、3の言葉をやり取りして目的地へ歩を進める。びっくりするほど変わらない田舎道を進み、林を抜けて、山を登る。コンクリ... 続きを読む
  • 大学卒業してもう3年、ちらほらと知り合いが結婚し始める頃。 地元を離れて入学した地方都市の大学。それなりに楽しくありふれた大学生活。バイトとサークル、たまに深夜のサイゼリヤで勉強(一夜漬けって... 続きを読む
  • 「待って、行かないで!」そう口にしたときにはもう遅い。私が乗りたかった上り線の電車はすでに動き出し、私を一人ホームに残して行ってしまった。 「はぁ……最悪」田舎のローカル線だから、いまのが終電... 続きを読む
  • 最近、好きな人ができた。 彼女は僕よりも3つ年上で綺麗に揃えられたた前髪の奥に大きな瞳、誰にでも明るく接する彼女はきっと大学の中で人気があるのだろう。 初めて、彼女に会った時、彼女は「夜の仕... 続きを読む
  •  田舎に帰省した僕は田んぼの畦道を彼女と並んで歩いていた。なるべく明るく自分の近況を伝えようとする僕に対して彼女の顔は悲痛なままだ。もう随分と歩いたが、田舎道は中々終わらない。長く続く退屈な道で... 続きを読む