恋愛

  • 終末あさくら
    「夢と現の狭間を歩く。」 彼女は恋をそう呼ぶのを、ふと思い出す。 それは走馬灯のように思えた。 星が落ちる夜、炎と煙が泳ぐ瓦礫の中で彼女を見つけたからだろうか。 オレンジ色に燃え上がる炎... 続きを読む
  • 有色あさくら
    「愛の反対って何?」 窓を滑る煙草の煙に身体を委ねながら、彼女は僕に問うた。怠慢と憂鬱だけが残ったベッドの上で僕は彼女の方を向く。 「どうしてそんな事きくの?」 「いや、愛を知りたくて」 ... 続きを読む
  • 外の木の葉が1枚落ちたら、俺は死ぬ。 こんなくだらない事を考えるほど、病室は退屈だ。 この日々が始まったのは、昨年の夏頃から。会社の健康診断で検査に引っかかり再検査となり、見事病人となった。... 続きを読む
  •  僕は人の心の傷が見えた。  それはその人の体のどこかに仄暗い傷として目に映った。それが心の傷なのかはよくわからないけれど、それが消えた人が心が癒えたといったので、僕にとってはそれは心の傷... 続きを読む
  • 手の甲が触れ合った。 そこだけ熱くなってきた。 手を繋ぎたい。 もう四回も会っているのに、顔もよく見れいない。 手の甲が触れ合った。 少しドキッとした。 手を繋いでこない。 も... 続きを読む