SF

  • 通学路雨玉
    抱き締めるようにして抱えている鞄は、本来であれば背負うもの。 必死の形相で向かっている先は、本来であれば子どもたちが学ぶ場所。 時刻は午前8時30分。通勤通学時間である。 自分がなぜいまだ... 続きを読む
  • 水の中にいるのに苦しくないよ。 目も見える、声も出せる、口から泡が出ない。 上を見た。 水面が太陽の光を浴びて、キラキラしている。 水の中なのにそれ程、水の抵抗を感じない... 続きを読む
  • 私は知らない生き物に、監禁されているようだ。 ようだと書いたのは、寝ている間の出来事だったので、まだ把握できていない。 しかも目を開けるといきなり、全く違う世界だ。 これには驚... 続きを読む
  • 拇指雷池 雷
    「溶けてしまいたい夜だってあるさ。」 そうつぶやこうとした親指は、ふと立ち止まって考え、テンキーの上をくるくるした後 [下書き]のボタンをタップした。 一日中動き回った月曜日の深夜などは、... 続きを読む
  • そこは完全に平面の世界だった。 とても色彩が美しかった。 もちろん僕も平面である。 凄く奥行きはあるのに、平面な街の一角にいるよ。 確か元の僕は、確かにその街にいた。 ... 続きを読む